2017.11.22
体幹を鍛えるにはどんな遊びをしたら良いでしょうか?
(今回は体育指導員の富田が回答いたします)
今回いただいたご質問のように、椅子にちゃんと座れない・じっとしていられない・すぐフラフラする、最近そんな子が多いというお話をよくいただきます。
体幹とは、体を支え、バランスをとる最も大事なものです。
幼児期にしっかり全身を使った遊びを楽しんだ子は、体幹の強い子に育ちますが、大人が行う「静止して体幹を鍛える」トレーニングや筋力トレーニングは、幼児には向きません。
例えば、最近ではサッカーの長友選手がされているような体幹トレーニング法を、本やDVDだけでなくインターネットで気軽に観られるようになりましたが、子供にさせようと思っても難しそうですよね。
幼児期においては、体幹を「鍛える」のではなく、楽しい遊びの中で体幹が「自然と養われていく」ことが大切です。
1. 走る
2. 転がる
3. ぶら下がる
4. 跳びはねる
5. 渡る
この5つの動きによって体幹が自然と養われていきますので、遊びにうまく取り入れて楽しんでみましょう。
室内でも行える(梅雨時期でも楽しめる)4つの遊びをご紹介します!
まずは導入遊びや、回遊遊び(サーキット)にも取り入れやすい動作から。
【線上歩行】
縄跳びの縄など立体感のある線状の物の上を渡っていきます。
何度も渡るうちに、線上から落ちないようバランスを取れるようになります。
慣れてきたら「どんジャンケン」などに発展させ、ゲーム性を持たせる事で飽きずに楽しめます。
この遊びは手軽に行えますので、日常に取り入れやすいのがポイントです。
例えば、廊下にロープを常に置いておき、外遊びが終わったら必ずその上を渡ってからお部屋に戻るなど、ちょっとした工夫が機会を増やし、効果を高めます。
【平均台で足の上げ下ろし】
左右の足を交互に平均台に上げ下げしながら前進します。
そうする事で重たい頭のバランスをとりながら体の中心に軸を作ることができるのです。
最初は体の軸がブレてしまいますが、繰り返すうちに段々とブレなくなり、リズム良く渡れるようになります。
特に平均台を使った活動は体幹を養うだけではなく、股関節の可動域も広がります。
とっさの身のこなしにも繋がるので、安全能力を高める為にも是非経験してほしい動作です。
次に、「競争」「共感」の要素を盛り込んだ「リレー遊び」を2つご紹介します。
【折り返し横転リレー】
マットの上を横転し、端まで進んだら横転のまま折り返し、次の仲間へとリレーしていきます。
折り返す事で、右向きの横転と左向きの横転、どちらとも経験することができます。
【折り返しケンケンリレー】
マットの上をケンケンで進み、端まで行ったら反対の足でケンケンしながら戻り、次の人へとリレーしていきます。
ケンケンに慣れてきたら、横向きケンケン、回転(くるくるケンケン)などに発展させることもできます。
折り返しで行わない場合は、マットの色が変わったら反対の足にするなどして、両方の足でケンケンを行うようにしましょう。
これらの遊びのポイントは「左右対称に行う」ことです。
横転折り返しリレーでは右向きと左向きの横転を、折り返しケンケンリレーでも右足と左足の両方でケンケンをします。
誰にでも左右どちらか苦手な向き(苦手な方)があるものですが、得意な方ばかりではなく苦手な方も行うことで体の力みが取れ、体幹を鍛えるのにより高い効果が得られます。
なかには、苦手な方ではやりづらいので、無意識に得意な方ばかりでやってしまう子も見られます。
「ごまかしている」のではなく、「やりづらいから得意な足やろう」と上手に対応しているので、
「反対の方もちゃんとする!」などと細かく指摘をせずに、間違っていたとしても本人が満足して活動している時は、存分に認めてあげましょう。
そのうえで、上手に出来ている子を皆の前で褒めるなどしながら「そういうことか!」と本人が気づけるように関わってみてください。
左右対称の遊びを存分に楽しむことで、体幹のしっかりした子が自然と育まれるはずです。
ちなみに、大人もこれらの遊びをすることで、疲労回復やシェイプアップに効果があります。
先生方も子供と一緒に楽しみながら、しっかりとした体幹を目指しましょう!